ペンテコステ

 今日は「ペンテコステ」についてお話しします。
 ペンテコステ、という言葉は、英語のようですが、もとはギリシャ語の「pentecost(ペンティコスティ)を日本人が発音しやすいように「ペンテコステ」とカタカナ表記にしました。意味は「聖霊降臨」です。他の国ではどのように言っているのでしょう。
 <世界で最も話されている言語 >
1位 英語14億5,300万人 では「pentecost(ペンテコス)」
2位 中国語11億1,900万人 では「五旬節(ウーシンジェ)」
3位 ヒンディ一語 6億人 「pentecostes(ペントゥコスト)」
4位 スペイン語 5億4,900万人 「pentecostes(ペンテコステス)」
(5位フランス語、6位アラビア語、7位ベンガル語)日本語は?13位(2021年))

 さて、私たちの住んでいる地球上には200近い国があり、数千もの言語があります。どうして、このようにたくさんの言語が生まれたのでしょう?学者たちがそのわけを探ろうとしていますが、聖書に明確な答えが示されています。

 旧約聖書 創世記第11章に「バベルの塔」の物語があります。                      「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう(4節)」と言って、人々は塔を建て始めました。「有名になろう」というのは「名をあげよう」という意味です。それは互いに競い合い、戦うことになります。それは神さまのみ心ではありませんでした。そこで神さまはお互いの言葉が通じないように、言語をバラバラにしてしまったのです。人々は、塔の建設をやめてしまいました。
 バベルの塔の出来事が書かれている 創世記11章の次の12章には、アブラハムが出てきます。このアブラハムの家族が大きくなり、イスラエルの民が生まれていったお話が記されています。そして、このイスラエルの民の中から、世界の救い主イエス・キリストが誕生します。
 ばらばらになった世界が再び一つになっていく物語が記されているのです。神さまのみ心は人々をバラバラに分断することではありません。世界が一つになるために、ペンテコステの出来事が鍵となります。

 イエス・キリストの弟子のうち、ユダがいなくなり、マテイアが加えられて12人になった弟子たちは「エルサレムを離れず、前に私から聞いた、父の約束されたものを待ちなさい」というイエス様との約束を、祈りながら待っていました。
 そこへ、「突然、激しい風が吹いてくるような音が、天から聞こえ、彼らが座っていた家じゅうに響いた。そして、炎のような舌が、分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、-同は聖霊に満たされ、霊が語らせるままに、他の国の言葉で話しだした。」(と、4節に書かれているように)12人の弟子は、それぞれが違う国の言葉で語りました。12人の語る言葉を聞いた人々が、驚きのあまり12人が語った言語の数を数え上げています。パルティア、メディア、エラム、メソポタミア、(ユダヤ、カバドキア、ボントス、アジア、フリギア、パンフイリア、エジプト、キレネに接するリビア地方。なんと!12の言葉だとわかりました。12人の弟子は普段は、住んでいるガリラヤの言語を使っています。けれど、12の言語で語ったということです。聞いていた人々は、12人が違う言語で同じ内容のことを語っていることに気づきます。
「彼らが、わたしたちの言葉で、神の偉大な業を語っているのを聞こう(11節)」
 人々は皆驚き、とまどい、「いったいこれはどういうことなのか」と互いに言った。人々は神の偉大な業が語られていることを聞き取ったのです。(12節)
 ペンテコステの出来事によって、言葉が通じる、一つになるということが、どういうことなのかを考えさせられます。外国語を学んで、違う言語の国の人と、意思疎通ができるようになることが、世界が一つになるということではありません。どうすれば一つになれるのでしょうか? 聖書に示されています。神さまの言葉を聞いて信じること、これが一つになるための道です。まるで嵐が吹き荒れるように、イエス様が約束された聖霊が注がれる中で、教会は歩み始めたのです。
 その後、ペトロがイエス様の復活と、その意味をお話しすると、人々は信じて洗礼を受けました。聖霊が与えられて、神さまのみ業を信じて洗礼を受ける人が与えられる、それが教会の誕生です。教会が誕生して二千年以上たちましたが、神さまは今、わたしたちに聖霊を与え、神さまの偉大なみ業を伝え、私たちを教会に導き、洗礼へと導いてくださいます。神さまのみ業はこれからも続いていきます。ペンテコステはその始まりの出来事です。教会では「神さまの偉大な業」が語られ続けているのです。