「箱舟に入る」

創世記7章1~10節


 先週の話に続いて。ノアさんの箱舟のお話です。神さまは心を込めて、愛を持って、この世界、そこに生きる生き物たち、そして人間をとても素晴らしく造られました。神さまは、「見よ。それは極めて良かった。」と大喜びされ、すべてを祝福なさいました。けれども、人間は神さまの言いつけに背いて悪いことをしました。人間同士、お互いに大切にしあえなくなっていました。神さまはいつも悪いことばかりする人間の様子、世界がどんどん悪くなっている様子を天からご覧になって、人を造ったことを後悔し、心を痛められました。そしてついに神さまは地上に洪水を起こして、すべてを滅ぼす決心をされました。
 けれども、そんな悪い人だらけの世界にも、神さまをまっすぐに信じる人がいました。ノアさんです。ノアさんは。心から神さまを信じて、神さまに従い、家族を愛し、隣人を愛して歩んでいたので、神さまはノアさんとその家族に目を止められ、救いたいと思われました。そこで神さまはノアさんに、洪水が起こる前に箱舟を造り、すべての生き物を一つがいずつその中に入らせるように、そして食べ物を充分に積み込むようにと命じられました。ノアさんは、神さまの命じられた通りにしました。それを見ていた周りのみんなは神さまが世界を洪水で滅ぼされると信じるノアを馬鹿にしました。そして、一生懸命に大きな箱船を造るノアさんの家族を見て笑い者にしました。誰も、神さまが言われたことを信じなかったのです。でも、みんなからどんなに笑われても、馬鹿にされても、ノアさんの家族は黙々と箱舟を造り続けました。ついに箱舟が出来上がったとき、神さまはノアさんに言いました。「さあ、あなたとあなたの家族は皆、箱舟に入りなさい。この世界であなただけは私に従う人だと私は認めています。すべての生き物のオスとメスを、一つがいずつ箱舟に入れなさい。」と。
 箱舟が出来上がると、すべての生き物のつがいが箱船に乗るために神さまに導かれてやって来ました。ノアとその家族は生き物を箱舟につれて入りました。みんなが箱舟の中で食べる食料も積み込みました。すべての生き物が乗り込むと、神さまは箱舟の戸を閉められました。やがて神さまが言われたように大雨が降り出しました。40日40夜続き、水が地面を覆い尽くし、箱船は水に押し上げられて浮かびました。水は力をまして地の上にみなぎり、大洪水となりました。箱舟はただ水の上に浮かび、漂うしかありませんでした。水は150日もの間、勢いを失わず、地上のすべてのものが死に絶えてしまいました。箱舟の中にいた者だけが生き残ることができました。
やがて水が引き始め、箱舟はアララト山の上に留まりました。その窓からカラスを放しました。水がまだ全部引いてなかったので、窓から出たり入ったりしました。その次に鳩を放しました。鳩は留まる所がなかったので、すぐに帰ってきました。7日経って、またノアは鳩を放しました。鳩は夕方になってオリーブの葉をくわえて帰ってきました。水が引いた事を知り、更に7日経って鳩を離すとはとはもう帰ってきませんでした。地上の水が渇いたからでした。ノアさんの箱舟の話は絵本にもなっていて、皆さん聞いたことがあるお話だと思います。このお話の中で大切なことを改めて考えてみたいと思います。
 まず、このノアさんという人。世界中が神さまを忘れ、わがまま放題の悪い人だらけになった中で、ノアさんという人は罪を犯さない悪いところが一つもない人だったのかというと、そうではありませんでした。ノアさんもまた、神さまから見たら完璧ではない弱い人の一人でした。けれどもノアさんはどんな時も、自分の思いよりも神さまの言葉を信じ続けた人でした。聖書にも書いてあります。「ノアはすべて主が命じられた通りにした。」ノアさんはすべて主が命じられた通りに箱舟を造り、洪水が起こった時も神さまの言葉通りにすべての動物を招きました。そして神さまの呼びかけに答えた自分の家族と一緒に箱船に乗り込みました。この箱舟は、自分で行き先を決めることは出来ない船でした。大雨が降り続いた40日40夜ノアさんと家族は、行き先のわからない船の中で自分たちを救い出して下さった神さまの支えを信じて進んだのです。「自分たちではどうすることもできない。」そんな不安の中で、ノアさんたちは将来を信じ、希望を信じ、神さまの導きを信じました。
 40日40夜と聖書にありますが、この40という数字は神さまによる試練の期間を表しているそうです。この神さまによる試練。私たちにとって、苦しいとき、辛いとき、悩むとき、それもまた恵みの時なのだと、この物語は教えてくれます。私たちも今、神さまが備えてくださった箱舟に招かれ、残っています。教会という箱舟です。今、私たちは松山城東教会という箱舟に入りなさいと神さまから招かれています。毎日生活してく中で、ひとりひとり必ず出会わされる試練の時を過ごしながら、ノアさんのように、ひたすらに、神さまの言葉に聞き続けたいと思います。すぐには神さまは答えをくださいません。けれども、目先の問題解決を求めるのではなく、苦しみ・悩みの中にある時、イエスさまがこの私を見捨てずに必ず共にいてくださるという希望に目を向けて歩みたいと思います。

 神さま、今日はノアさんが家族や動物たちと箱舟に入る物語を学ばせていただき、ありがとうございます。ノアさんたちが40日40夜、洪水の中を不安の中を過ごしたように、私たちも不安や悩みの中で過ごすことがあります。そんな時、今日のノアさんの物語を思い起こし、ノアさんのようにまっすぐに神さまの言葉に聴き従ってきたいと思います。イエスさまが私たちを決して見せず、どんなときも必ず共にいてくださるということを教えていただき感謝します。新しい週も毎日、私たちのそばにイエスさまがいてくださることを忘れずに歩ませてください。