「創り出す神さま」

ヨハネによる黙示録22章12~21節

 聖書の一番初めの言葉は「はじめに神は天地を創造された」です。「創造された」とは、創られたということです。神さまが天地を創られるまでは、「真っ暗闇の水の面に神さまの霊が動いているだけだった」と聖書に書かれています。

 その真っ暗闇の中で、神さまの言葉が響きました。「光あれ」すると、光が射して明るくなりました。神さまはみ言葉によって光を創られました。神さまは光もご覧になって「これはいい」と喜ばれました。そして、光と闇を分けて光を「昼」、闇を「夜」と呼ばれました。「夕べがあり、朝がありました」こうして、私たちが今、毎日生活している「日」が造られました。これが「第一日目」でした。ここから神さまが造られる一週間が始まりました。 今日の聖書には、神さまがみ言葉によって天地を造られ、朝夕のある第一日目が創られたことが書かれています。来週「二日目」から「六日目」、一週間で神さまが世界の全てを創られた今日のお話の続きを聞かせていただけると思います。

 今日の聖書から教えられていることは何でしょう。それは神さまが、この世界をお創りになったということです。この世界の全てのもの、私たち人間も含めて、神さまによって創られたものなのです。皆さんは生活している中で、神さまの存在を感じるときはありますか?図鑑を持ってきました。これはたしか、息子が小一になった頃に買ったものです。息子は虫が大好きで、特にカブトムシ。クワガタが好きでした。この世界にはいろんな生き物がいます。昆虫も動物も、もちろん人間も。それから草花も。その命の誕生、成長の不思議を思う時、それは神さまが創られたに違いないと思わされます。そして生き物の色。それは、美しい色にあふれています。到底人間が創り出すことはできない色。やはり神さまが創られたに違いないと心の底から思わされるのです。さて、私たちは学校で理科や科学の授業を受けて、宇宙の成り立ちや進化論などを学びます。世界や生き物がどのようにして存在するようになったのかを学ぶと、「世界の全てを神さまが創られた」という聖書の言葉は、「創り話なのでは?」と思うでしょう。ある先生は言われます。ここで大事なことは、「聖書は科学の教科書ではない」ということです。聖書の描く創造の物語は、この世界が何のために存在し、私たちの命にどんな意味があるのかを証しします。この世界は、単なる偶然が重なって生じたのではないのです。25節に「神さまは創られた生き物を見て良しとされた」とあります。神さまがお創りになった世界。それは全てよいものでした。そのよいが、私たちひとりひとりにも及んでいるのです。神さまが創られたものの中に、私たちひとりひとりがいるのです。偶然にこの世に生まれ、自分勝手に生きているのではなく、神さまがこの私を創ってくださり、良いものとして生かしてくださっています。一人一人、大切な存在として。生かされているのです。

 神さまが光を創造され、昼と夜をお創りになって世界に「日」が生み出されました。今こうして私たちが生かされ、生活している一日一日も神さまが創られた「第一の日」の御業によるものだと覚えておきたいと思います。「神さまなどではなく、人間こそがこの地上でもっとも有能で、人間こそが全てを支配できて、全てを思い通りにできる」と考えている人も多くいると思います。でも、本当にそうでしょうか?人間が自分の思い通りに生きようと、どんなに頑張っても、全て思う通りにはいかないということを私たちは知っています。どんなに気をつけていても病気になるし、怪我もします。それに、楽しいこと、嬉しいことだけの毎日にしたいと思っても。やっぱり困ること、苦しいこと、悲しいことは誰にでも起こるのです。よく思います。「神さまが命を創ってくださったのなら、なぜ苦しみや悲しみがあるのでしょう」と。「神さまが、私たちをよいものに創ってくださったのなら、良いことばかりが起こるように守ってくださればいいのに」とか、「神さまを信じて真面目に一生懸命に生きている人が、どうして辛い目に遭わないといけないのだろう?」と思うときがあります。そう思うとき、実は自分がとても自分中心に、自分勝手に物事を考えていることに気づかされます。自分の願い通りに神さまを動かそうとしている。とても傲慢になっていることに気づかされるのです。旧約聖書の箴言16章9節に「人間の心は自分の道を計画する。主が一歩一歩を備えてくださる。」という御言葉があります。私たち一人一人を、神さまがどのような計画のうちに生かしてくださっているのか、すぐにはわかりません。けれども、この世界の全てを神さまが創られた。その私たちは。はかり知ることのできない大きな大きな神さまの御業を信じ、一人一人の生活、歩みを神さまが導いてくださっていることを信じたいと思います。たとえ辛いことがあっても、そこに必ず神さまの大いなるご計画が示されると信じて、どんな時も希望を見失わずに歩んでいきたいと思います。

 祈ります。神さま今日は、神さまが御言葉によって世界の全てを創られたことを学びました。私たち一人一人にも、神さまがご計画のうちに命を与え、生かしてくださっていることを知り、感謝します。全ての出来事には意味があり、神さまがご計画のうちに私たちの歩みを守り、導いてくださっていることを信じて歩みたいと思います。