7月20日

悪人に刃向かうな」
 寺島謙牧師
 マタイによる福音書 5章38~42節 

 ユダヤ人達は、「目には目を、歯には歯を」という戒めに従って生活していた。この戒めは一見すると過酷な戒めのように思われる。だが報復・復讐によって、相手の命まで奪われることを避けることがこの戒めの目的であった。だが主ほ「悪人に手向かってはならない」と言われた。「悪人」というのは犯罪者という意味だけではない。実際に今、自分を悩ませ、苦しめ、痛めつけているそういう相手のことも含んでいる。その悪人に手向かうなというのは、復讐するなということである。これは、悪に目をつぶれということではない。神の支配を信じて、復讐することをも神に任せて、神の御心が表されるまで忍耐して歩むということに他ならない。40節以下も同じである。この忍耐は、我慢するということではない。「キリストに従うための苦しみ」である。主が罪人である我々のために十字架を負われ、忍耐して神にひたすら従われたように、我々もまた自分に悪を働く者、自分を訴え、強いて歩ませる者に対して復讐せず、神に任せて忍耐して歩むのである。主が十字架の死から復活に導かれたように、必ず、神の御心による、真の解決が与えられる。