「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」
寺島謙牧師
マルコによる福音書 15章33~41節
主イエスが十字架に架けられて昼の十二時になった時である。聖書には「全地が暗くなり、それが三時まで続いた」とある。その時、主は大声で、「エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ」と叫ばれた。この言葉の意味は、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」であるが、これは旧約聖書詩編22編2節の言葉である。要するに、聖書は、十字架上の主イエスが正午から三時の間、まさに十字架の上で死ぬその時まで、詩編の言葉を心の中で繰り返し唱え続けていた。その祈りが死の間際に、主の口から発せられたことを証言しているのである。そして、この祈りこそ主が地上において捧げられた最後の祈りでもあった。実に弱々しい祈りの言葉にも聞こえる。事実罪無き神の独り子がこのように十字架に架けられ捨てられたのである。だが十字架の上で命が尽きようとしている直中にあって、主が何より祈り続けたことは、父なる神への絶対的な信頼と、その神の御心が行われることであった。主はまさに十字架の周りで御自分の祈りに気づかない全ての罪人がこの十字架によって赦され、救われることこそ、神の御心であると信じて、最後まで祈られたのである。
