ここはベツレヘムの近くの野原です。冬の寒い夜、真っ暗な野原に羊飼いたちがいます。羊飼いは、羊が狼に襲われたり、泥棒に盗まれたりしないように、一晩中、羊の群れの番をするのです。冷たい風のふく夜に、たき火の周りで話をしていました。AA「ユダヤの街では、住民登録をせよ、との命令が出て、みんな故郷に帰っているんだって。」
B「住民登録?僕たちには関係ないよ。だって、毎日羊の番をしていて住む家がないからね。僕たちには住所がないんだ。」
A「それに財産も持っていない。みんなふるさとに帰っていくのに、僕たちだけはいつも通り羊の番をするだけだよ。」
B「それにしても今夜は寒いね。」
 羊飼いは毎日24時間羊の世話をしていたので、どこにもいくことができませんでした。
 そんな羊飼いたちには、一つの夢がありました。それは安息日にみんなが行っている会堂で、礼拝を捧げることでした。
 羊飼いに安息日はありません。大切な羊を守るために、礼拝に行くことはできませんでした。羊飼いたちは、いつか礼拝に行って神さまに祈りと賛美を捧げたいと思っていましたが、叶いませんでした。
 真っ暗な野原で、羊飼いたちは毎晩、夜空を見上げていました。月が丸くなったり、細くなったり、いろんな大きさの星が輝いたり、流れ星を見たり、その当時、誰よりも長く夜空を見ていた羊飼いは、神さまの存在の大きさに気がついていました。
A「こんなに美しい夜空を創った神さまは、なんて素晴らしい方だろう。本当にすごい。でも、僕たちは礼拝に行けないから、神さまからも見放されているんだろうな。」
 
すると、突然、目もくらむような光が差し込み、天使が近づいてきたのです。びっくりした羊飼いたちは、とても恐ろしくなりました。
 天使は言いました。
「恐れることはない。わたしは世界中のすべての人々に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの街で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。あなたがたは布に包まれて、飼い葉桶に寝かされている赤ん坊を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」
 すると、この天使にたくさんの天使たちが加わり、神さまを賛美する大合唱が起こりました。
「いと高きところには栄光、神にあれ。地には平和、御心に適う人にあれ。」
 賛美の大合唱が終わり、天使たちは天に帰っていきました。 

しばらくびっくりしていた羊飼いたちは、言いました。
「さあ、ベツレヘムに行こう。神さまが知らせてくださったその出来事を見てこよう。」
 羊飼いたちは、大急ぎでベツレヘムヘ向かいました。
 ベツレヘムの街で、飼い葉桶のある家を探し回り、とうとうヨセフとマリアと生まれたばかりのイエスさまを探し当てることができました。
 羊飼いた引ま大喜びで、飼い葉桶に寝かされているイエスさまを礼拝しました。

 羊飼いたちは嬉しくて嬉しくて、天使から告げられたことをみんなに話して聞かせました。それを聞いた人たちはすぐに信じることはできず、不思議に思っていました。羊飼いたちは、自分たちが見たこと、聞いたことが、全て天使のお告げ通りだったので、神さまに感謝し、賛美しながらいつもの野原へ帰っていきました。
 
 神さまは、羊飼いのことを忘れたことは、一度もありませんでした。住民登録にも呼ばれず、人々から見放され、毎日24時間羊を大事に育てる羊飼いを、神さまはいつも見守っていました。
 礼拝に行きたいけどいけないこと、神さまの存在の大きさを知っていること。救い主の誕生という、この世で-番大切なメッセージを受け取るのに相応しい人として、神さまはこの羊飼いたちを選んだのです。羊飼いたちは、世界で一番最初にイエスさまの誕生を知り、馬小屋で礼拝することができました。
 羊飼いにとって、人生で-番嬉しい日になりました。
 そして、羊飼いだけでなく、この日は世界中の人たちとって一番嬉しい日になりました。すべての人を救う、救い主イエスさまが誕生した日です。
 もうこれから先は誰一人、人からも神さまからも見放されたと、心配する必要は無くなったのです。神さまは、誰一人見捨てることも見放すこともありません。それを一番よく知っているのが羊飼いです。

 最初のクリスマス、それは人里離れた暗くて寒い夜、誰よりも寂しい思いをしていた羊飼いたちに知らされました。神さまは、大切なメッセージをいつも不思議な形で伝えます。そして、いつも私たち一人ひとりのことを忘れることなく、大切に思ってくださっています。
 今日は、クリスマスです。世界で初めて救い主を礼拝した、羊飼いたちの喜びに合わせて、私たちも喜びの賛美を捧げたいと思います。
お祈りします。
 天の父なる神さま。今朝、教会学校の礼拝に招いてくださり、ありがとうございます。礼拝にも行けず、寂しい思いをしていた羊飼いたちに、神さまは世界で一番嬉しい知らせを届けてくださいました。神さまは、私たちのことも忘れることなく、不思議な形で用いてくださいます。私たちも羊飼いたちのように、神さまからの大切なメッセージを受け取り、喜んで生きていくことができますように。私たち一人ひとりを用いてください。この祈りをイエスさまのお名前を通しておささげいたします。アーメン。