「主の祈り」
寺島謙牧師
マタイによる福音書6章9~15節
「あなたがたの父は、願う前から、あなたがたに必要なものをご存じなのだ。だから、こう祈りなさい」と主イエスが弟子達に話され、教えられたのが「主の祈り」である。主の祈りは、主イエスが「口移しで与えられた」祈りである。おそらく普段から主は、主の祈りを唱えて祈っておられたのであろう。主の祈りの最大の特徴は、祈りの対象である神が「天におられるわたしたちの父よ」と呼ばれていることにある。ユダヤ人は決して「神」と呼ばなかった。その代わりに「主」と呼ばねばならないほどに神と人間との間に隔てがあった。その隔てとは人間の犯した罪によるものであった。だが今や、主イエスによって神の名を呼ぶことが出来るようになった。しかも「わたしたちの父よ」と呼んで祈ることが出来るまでに神と人との間にあった罪の隔てが取り除かれたのである。その神の御名が崇められるようにとは、神が神として誉め称えられ、神こそ礼拝が捧げられる聖なる唯一の存在とされるということである。そのために神は罪を抱える人間を赦し救われたのである。神の御心のために人は祈ることが、主の祈りにおいで何よりも求められている。