イエスさまは、12人の弟子たちから派遣された先々の地で行ったことの報告を聞き、船に乗って人里離れた地に退かれました。その地は、ベトサイダというガリラヤ湖畔の町であったとルカによる福音書には書かれています。しばらくすると、そこにたくさんの群衆が集まってきました。イエスさまは、彼らを見て、深く憐れみ、その中にいた病人を次々に癒されました。ところがだんだん日が傾き、夕暮れ時になり、あたりが暗くなり始めました。弟子たちは、イエスさまに、群衆を解散させ、自分たちで、食べ物を手に入れさせることにしましょうと進言しました。すると、それに対するイエスさまの返答は、弟子たちを驚かせました。「行かせることはない。あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい。」そういう内容だったからです。弟子たちは、びっくりして言いました。「ここには、五つのパンと二匹の魚しかありません。」弟子たちは、きっと泣きたくなるような気持ちで、無茶なことを言わないでくださいと心の中でイエスさまに訴えていたことと思います。すると、イエスさまは、五つのパンと二匹の魚を持ってこさせると、賛美の祈りを唱えました。すると、奇蹟が起こります。なんと五つのパンと二匹の魚が、細胞分裂のように増えたのでしょうか。五千人の人たちが満腹になったと今日の聖書箇所には記されています。
今日のお話では、イエスさまは、弟子たちに、大きな使命をお与えになりました。それは、群衆一人一人を自分の食べ物を手に入れるために村に行かせるのではなく、あなたがたが食べ物を与えなさいというものでした。では、イエスさまは、どうしてそんな無茶なことを弟子たちに要求したのでしょう。それは、弟子たちを、御業のために用いるためでした。弟子たちは、その時、大きな試練を与えられました。みんなきっと顔を見合わせたことでしょう。十二人が分かれて村に出かけて行ってパンを集めて回ったとしても、とうてい五千個も集めることはできない。しかもパンを買うお金もないし、その時間もない。どうしようもない。しかし、イエスさまの命令に背くことはできない。みんなそう考え、途方に暮れたことと思うのです。しかし、イエスさまにはそれが可能でした。賛美の祈りによって、五千人の人がみんな満足できる量の食べ物に返信しました。弟子たちは、その食べ物をお腹を空かせて地べたに座り込んでいた五千人の人たちのところを何度も行き来して、みんなに食料を配って回りました。その弟子たちの働きによって、イエスさまは、たくさんの人たちがお腹をいっぱいにするという御業を成し遂げられたのです。