ダニエル書6章19~28節
今日のお話は、イエスさまがお生まれになるよりもずっとずっと昔のお話です。ユダヤのエルサレムに、ダニエルという子どもがいました。小さい時からただお一人の神様を覚えて、いつもお祈りをすることを大切にしていました。ダニエルが少年になった頃、ユダヤはバビロンという強い国に滅ぼきれて、エルサレムの神殿は破壊され、ほとんどの人がバビロンに連れて行かれ、その土地の言葉や文化を教えられ暮らす事になりましたが、ダニエルは、私たちも知っている唯一人の真の神様を信じ、祈ることを欠かしませんでした。遠い外国に居ても、ダニエルはエルサレムの方を向いて、一日に三度のお祈りをし、神様を賛美する事を止めることは決してなかったのです。ダニエルはとても賢く、姿形も美しく、物事をよくわきまえる青年でしたから、連れて行かれた外国でも、王様にとても頼りにされ、重く用いられたのです。よく熱心にお祈りをすることで、神様はいつもダニエルのお祈りに応えて神様の御思いを伝えられ、ダニエルはその御言葉をよく理解する人となりました。バビロンはやがてメディアというさらに強い国に征服され、ユダヤの人々はそのメディアに仕えるようにされましたけれども、そこでもダニエルは、王様に頼りにされ、王様の悩みを解決するなどして、真実をこめてお仕事をしましたから王様はとてもダニエルを大切にし、国の一番大切なお仕事をする三人の大臣の一人とし、国の一番大切な役目を与えるようになりました。そこで他の大臣や百二十人ぐらいいるその下の総督などから、ねたまれるようになりました。その人達はダニエルを何とかやっつけてしまおうとよからぬ相談をしました。そうだ、あいつの信じているという神様とやらを使ってはめてやろうではないかという相談が成り立ったのです。そこでその人々は王様のところに行って、言いました。「王様、提案があります。王さまは世界で一番偉い方です。その事が分かるように、これから三十日間、神々にしろ、他の者にしろ、王さま以外の者に願い事をする事を禁じるというご命令を出してはどうでしょうか、そうすれば王さまの偉さ、御威光が示されるのではないかと思います。」「おうそうだな、さっそくそういう命令書を造ろうではないか。」王様はその時はあまり深く考えることもなく、その命令書にサインをしてしまったのです。さあ大変です。王さまの命令に背いた者は、ライオンを飼っている洞窟に投げ込まれることに決まっているのです。ダニエルはその命令が出されたことを知りましたが、仕事を終えて家に帰ると、いつもと同じようにエルサレムの方角に向かってお祈りを捧げ、賛美を捧げていました。後をつけてきて、これを見届けた人々はダニエルを捉えて言いました。「王様の命令に背いた者を捕まえたぞ、命令に背いた者はライオンの洞窟に投げ込まれることになっている。さあダニエルを連れて行け。」王さまは大変に困りました。何とかダニエルを助けたいのですが、一度出した命令を変える事は出来ない規則になっているのです。仕方なく、「ではダニエルを洞窟につれていくように。」と言いながらダニエルにはそっと、「どうかお前の信じている神がお前を守ってくれるように。」と言いました。ダニエルはライオンの洞窟に連れて行かれ、投げ込まれました。王さまは大切に思っているダニエルが、自分の軽はずみに出した命令のためにこのような目に合う事になったことに大変心を痛め、今頃ダニエルはどうなっているだろう、ライオンに食べられて命を落としているのではないか、と考えると食事ものどを通らず、ベッドに入っても一睡も出来ません。次の朝が明けると真っ先に洞窟に駆け付けました。そして呼びました。「ダニエル、ダニエル、お前がいつも祈っている神ほお前を守って下さったか!」すると洞窟の中から声が聞こえてきました。「はい、王さま、大丈夫です。神が天使を送って、ライオンの口を閉ざして下さったので、無事です。私の神さまはたしかにわたしを救って下さったのです。」ダニエルはそう言って、元気に洞窟から出て来ました。王さまは「ダニエルよ、お前の信じる神は真の神だ。救い主、助け主、不思議な御業を行って、ライオンの口からダニエルを救って下さった、生ける神だ。」そのように言って神を讃美しました。