あるとき、マリアは天使ガブリエルから、神の子イエスさまのお母さんになるというお告げを受けました。マリアは驚き、そして不安になってきました。天使はマリアを励まします。神さまは小さなマリアを目に留めて選ばれ、神さまのご計画のために用いてくださるのです。神さまの大きな恵みを知ってマリアはこの身に起こったことを謙虚に受け止めて、神さまを心から讃美しました。
ヨセフは結婚する前にマリアさんからお腹に聖霊による神さまの御子を身ごもっていると聞かされました。ヨセフは訳が分かりません。そしてマリアのために結婚をやめようと考えました。が、ある夜、神さまが天使を通して夢に現れてヨセフに告げました。
「ヨセフよ、おそれずマリアを妻に迎えなさい。マリアは男の子を産みます。その子にイエスと名付けなさい。その子はすべての人の罪から救う救い主なのです」と。目が覚めたヨセフはこのお告げをとまどいながらも信じ、この出来事を神さまの出来事として受け入れ、マリアを妻としました。
さて、このころのユダヤの国はローマ帝国という大きな強い国に支配されていました。皇帝アウグストゥスはユダヤの国中に命令を出しました。それは自分の生まれた故郷に戻って住民登録をしなさいという命令でした。目的はすべてのユダヤの人々からローマ帝国へ税金を納めさせるためでした。マリアとヨセフも従わなければなりませんでした。たとえ貧しくても、たとえ身重であっても逆らうことはできない厳しい命令でした。ヨセフはガリラヤのナザレで大工をしていましたが、先祖のダビデ家が住んでいた遠いベツレヘムへ行かなくてはなりませんでした。
ヨセフは大きなお腹をかかえたマリアをロバに乗せましたが、歩いて10日ほどかかる旅は大変つらい旅でした。ベツレヘムに着くころには二人とも疲れ果てていました。ヨセフはさっそく宿屋を探します。しかし、どこの宿屋も人がいっぱいで断られ、困ってしまいました。やっと、馬小屋なら泊めてあげてもいいよ、という宿屋が見つかりました。
馬や牛がいる小屋ですから、お世辞にも清潔できれいな場所とはいえません…が、ヨセフとマリアがその小屋にいるうちに、神さまが決められた時が来ました。ここで、神の御子であるイエスさまは産まれたのでした。赤ちゃんのイエスさまは布にくるまれ、藁を敷いた飼葉桶の中に寝かされました。
神の御子であるイエスさまは、りっぱな宮殿の中のベッドではなく、泊まるところがないという困難に遭われ、暗く貧しい家畜小屋の、馬や牛の餌を入れるような飼葉桶に寝かされたのです。イエスさまは一番貧しいお姿になって、天からこの世に降ってきてくださいました。
この時代にユダヤを支配していたローマ帝国が送ってきた王さまはひとりひとりから税金を奪い取っていく王さまでしたが、神さまが送って下さったイエスさまは、ご自分を貧しくしてすべての人々を豊かにするために来て下さった「まことの王さま」なのです。ユダヤの人々は数百年の間ずっと神さまのお約束を待ち望んでいました。そしてその通り、お約束通り、すべての人々の罪を赦し、救ってくださる救い主イエスさまが、こうして馬小屋にお生まれになったのです。
2000年経った今もなお、世界では争いや憎しみが絶えません。わたしたちも神さまを忘れて憎み合ったり、何か困難があると不安になったり希望を失ったりします。神さまの方を向かずに下を向いて立ち止まってしまうことがあります。そんな罪を抱えている今のわたしたちにも、神さまはいつもいっしょにいるよとイエスさまを送って下さったのです。イエスさまは希望の光です。わたしたちの世界の暗闇の中に、わたしたちの心の暗闇の中にイエスさまはお生まれになり、希望の光を灯してくださっています。この神さまの恵みに感謝して、どんなときも神さまを見上げて、元気よく笑顔で歩いていきましょう。