み言葉のそそぎ 説教題「元気を出しなさい」
使徒言行録27章1~26節 寺島謙牧師
いよいよ、パウロがローマ皇帝から裁判を受けるために船でカイサリアを出発した。
パウロは数名の囚人達と共に、皇帝直属部隊の百人隊長ユリウスに引き渡され、アジア州沿岸の各地に寄港しながら旅を続けた。リキア州のミラに着いた時、百人隊長はイタリア行きの船を見つけ、その船に乗り換えてローマを目指した。だが船旅は困難を極めた。寄港していた「良い港」から出航した船は、「エタラキロン」と呼ばれる暴風に巻き込まれ藻流し、カウダという小島の陰に来たので海錨を降ろして流されるにまかせた。だがひどい暴風に悩まされ、遂に人々は積み荷を海に投げ捨て、さらには船具をも捨てて船を軽くした。しかし暴風は激しく吹きすさぶので、遂に助かる望みは全く消え失せようとしていた。人々の絶望は、食事を取ることさえ出来ないくらい大きかった。だがパウロはその人々の中に立って、「元気を出しなさい」と励ました。
パウロも人々同様に助かる望みが全く消え失せようとする過酷な現実の中に置かれていた。しかしそのパウロに神の天使が現れ、「恐れるな」と告げたのである。絶望の直中にも神は我々と共におられる。神を信じる者を通して語りかけ、御業を進めるために必ず救いの道を歩ませて下さる。