使徒パウロとシラスが牢の奥深くに監禁された時である。真夜中頃、二人は賛美を捧げ、神に祈っていると、他の囚人達はこれに聞き入った。牢はいつ死刑に処せられるかも分からない、言うなれば絶望状況である。つまり監禁された囚人達とは、絶望に瀕している人々である。だが彼らは同じ境遇に置かれたパウロ達の信仰に触れ、この絶望状況にあっても共におられる神が、生きる勇気と希望を与えてその命を生かして下さっている事実を知り、大きな慰めと希望を与えられたのである。そのことを証明する出来事が起きた。大きな地震が起こり、牢の扉が皆開き、囚人達の鎖も外れてしまったのであるが、一人も逃げ出さなかった。もう一人絶望に瀕していた人がいた。看守である。囚人が皆逃げたと思い、自害する他ないと思った。だがパウロがそれを留まらせた。看守もまたパウロや囚人達の信仰を通して、神の臨在に触れどうすれば救われるか尋ねた。そして「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます」というパウロの言葉を受け入れ、家族共々洗礼を受け、神を信じる者となった。