説教題 「これはわたしの体である」寺島謙牧師

マルコによる福音書14章22～26節

　主イエスが十字架にお架かりになる前に弟子達と取られた食事の場面である。所謂、「最後の晩餐」と呼ばれる食事であるが、これは元々ユダヤの過越の食事である。かつてイスラエルはエジプトの地で奴隷として虐げられていた。だが神は民の声をつぶさに開きイスラエルを神の民として救うことを決意された。エジプト脱出の前夜、神はイスラエルの民に、一匹の子羊を屠り、その血を家の鴨居に塗るように命じた。そのしるしを見て神はイスラエルの民の家を過ぎ超され、イスラエルの初子を守られた。だがエジプト人の初子を打たれた。この出来事に恐れを抱いたファラオは、イスラエルがエジプトを出て行くことを許した。こうしてイスラエルは子羊の血によって贖われてエジプトから救い出された。主は、この過越を想起しつつ、今度はパンとブドウ酒をお取りになって、「これはわたしの体である。これは、多くの人のために流されるわたしの血、契約の血である」と宣言されて、パンとブドウ酒を弟子達に渡された。主の十字架の犠牲こそ、全人類の罪の赦しであり神の救いの御業に他ならない。