ローマの千人隊長には、パウロが何故ユダヤ人達から訴えられ、殺意を抱かれるのか分からなかった。そこで、ユダヤの祭司長達と最高法院全体の招集を命じてパウロをその場に立たせた。パウロは自分が今日まで「良心に従って神の前で生きてきました」と告げた。「良心」とは、神との正しい関係を知る心のことである。パウロは自分が神の前に正しい者として歩んできたと証言した。ところがこれを聞いた大祭司はパウロの口を打つようにと命じた。パウロが神を冒涜したと感じたからである。すると今度はパウロが大祭司に、「白く塗った壁よ、神があなたをお打ちになる」と反論し、大祭司こそ神を冒涜する偽善者であると指摘した。パウロは自分もかつて神を冒涜し、神の前に偽善を働く罪人であった。だがそのような自分がただキリストの十字架の死と甦りによって赦され清められ救われたことを知ったのである。復活を信じないサドカイ派と、復活を信じるファリサイ派の間に議論を起こし、キリストの福音こそ、全ての人間を救う神の御業に他ならないことを訴えた。