「あなたは、メシアです」。これは主イエスに対するベトロの信仰告白であるが、この告白が為されたすぐ後に、主はご自分が救い主として歩まなければならない道程について弟子達に話された。それが31節にある主イエスの受難予告とそれに続く、復活についての言葉である。これを聞いたペトロは主を脇へ連れて行き、いさめ始めた。すると主が振り返って弟子達を見ながら、「サタン、引き下がれ。あなたは神のことを思わず、人間のことを思っている」とペトロを叱った。そして弟子達ばかりでなく群衆を呼び寄せてこう言われた。「わたしの後に従いたい者は、自分を捨て、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい」。主に信仰を言い表すとは、自分の一切を主に明け渡し、ただ主のために生きることである。十字架に向かって歩まれた主の御生涯は、まさに一切を神に捧げ尽くした歩みであった。だがそこに復活という限りない永遠の命に至る救いの道が開かれた。この救いの道を我々にも歩ませるために、自分の十字架を負って私に従えと命じられたのである。