み言葉のそそぎ 説教題「全てを益としてくださる神」
ローマの信徒への手紙8章28~30節 創世記50章22~26節 寺島謙牧師
今日の聖書には、「万事が益となるように共に働く」と書かれている。万事というのは、人間の営みの中に起こる一切ということである。喜びや楽しみや幸いは勿論であるが、逆に我々にとって受け入れたくはない、出会いたくはない苦しみや悲しみ、試練や艱難と呼ばれる現実もまた含まれている。この世の常識で考えればそういうものが我々の益になるはずない、むしろマイナスになると誰もが思うはずである。だが実際に、この言葉を生きた人物が聖書の中に出てくる。創世記に登場するヨセフである。ヨセフは父親のヤコブの末息子として愛されて成長した人物であるが、そのために他の兄弟達から妬まれ激しく憎まれた。そして裏切られその命を奪われそうになったが寸でのところで危機を逃れ、奴隷としてエジプトに連れて行かれた。エジプトで労苦を重ねたが、不思議とその命が守られ導かれ、遂にはエジプトの宰相にまでなった。そして兄弟との和解が実現し、父ヤコブと再会し再び家族が一つとなった。このようにヨセフを守り導かれたのは、全てを支配する神のお働き、力によることであり、神が万事を益とされるためにヨセフと共に歩まれたと聖書は証言しているのである