2023年1月22日

説教題 「なぜ怖がるのか。まだ信じないのか。」寺島謙牧師

マルコによる福音書4章35~41節

 「向こう岸に渡ろう」と主イエスは、弟子達に告げられた。向こう岸とは異邦人が暮らす世界である。神の救いは、ユダヤ人ばかりでなく世界中の全ての人々に及ぶ。そのために主は弟子達と共に舟で漕ぎ出された。だが急に激しい突風が起こったので舟は波を被って水浸しになった。マルコ福音書は、初代教会に対する迫害が激しさを増すローマで成立したと言われるが、嵐に遭遇した舟は、まさに迫害という嵐の中に立つ教会を指している。そして、嵐の中で恐れ戸惑う弟子達が「先生、わたしたちがおぼれてもかまわないのですか」と叫んだように教会は、迫害に対して無力である。だが聖書は、嵐の中で激しく揺り動かされる舟に主イエスが弟子達と共におられたことを明らかにする。そして、主こそ嵐の中にあって教会を守り導く救い主に他ならない。「イエスは起き上がって、風を叱り、湖に『黙れ。静まれ』と言われた。すると、風はやみ、すっかり凪になった」(39)。このように、主は弟子達を見捨てずに、十字架の道を歩まれ、遂に救いの御業を成し遂げられる